ナカザワ

墨東綺譚のナカザワのレビュー・感想・評価

墨東綺譚(1960年製作の映画)
4.2
「こうしてると所帯をもったみたいね」と呟いた自分の言葉に涙がこぼれそうになって、慌てて台所にトマトを洗いにいく山本富士子。なんていじらしくて切なくて孤独なんだろう。
最後のシーン、玉ノ井の暗闇の中で窓に浮かび上がる女たちの顔、顔、顔。その、小さな窓の向こう側に閉じ込められたひとつひとつの生き様を思うと、ゾッとするような、やる瀬ないような、なんとも言えない心のざわめきを覚える。これ以上ない終わりかたでした。