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墨東綺譚のENDOのレビュー・感想・評価

墨東綺譚(1960年製作の映画)
4.5
財閥の小間使いだった三千代は非嫡子を妊娠。その家の書生だった比呂志は子供ごと引き取って結婚するも毎月の財閥からの仕送りに比呂志は世を拗ね三千代はお題目に入れ揚げ結婚生活は破綻していた。激しい雷雨の夜に出会って以来甘え続けるお富士さんだったが…氷白玉を頬張り虫歯が発覚。死を予感させる不穏な旋律。蚊帳を掛ける行為が何度も反復され寝そべる2人が綺麗に収まるシネスコ。新珠三千代が襖で塞ぐ空間。色仕掛けでドヤる三千代!閉じ込められた比呂志になす術なし!同時に玉ノ井の2階で不意に閉じられる襖はお富士さんと比呂志を断絶する壁となる!行徳にある死ぬほど貧しい実家で伏臥する母親の爛れた顔が露呈する様はホラーでしかない。バタヤの伯父しか看取る者はいない。玉ノ井の窓から覗く顔顔顔!弱き者の無垢を尊ぶcolonialな上から目線は気持ち悪い!それが人間の業なのだろう!暑さと埋立地の湿気と蚊の煩わしさとひぐらしの鳴く侘しさ。晩夏の凝縮。
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