くずみ

墨東綺譚のくずみのレビュー・感想・評価

墨東綺譚(1960年製作の映画)
3.9
隅田川を渡り、異界・玉の井に迷い込む導入部が巧み。私娼街建築の再現に力を入れている。
澱みに浮かぶうたかたのように、ありふれていて呆気ない女の物語。お富士さんの白いスネが眩しい。月給取りとその日暮らしの間の溝は、容易には埋まらない。織田政雄の所業が切ない。
「ぬけられ」ない人々を安全地帯から観察する嫌らしさは、作り手の自覚するところだろう。
“散人”中村芝鶴が雰囲気。タッパがあれば更に。
事情通のおでん屋夫婦が宮口精二と賀原夏子。
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