りーな

πのりーなのネタバレレビュー・内容・結末

π(1997年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

数字は神の言語とも言われている。概念的な領域を扱う数学は、昔から真理を探求するための手段として重要視されてきた。
万物に適応できる法則が見つかれば、文字通り全てのことに用いることができるため、作中の通り、人間の大きな動機となる宗教と金に執心する人間たちに利用されることになる。
数字が中心となるこの作品内では徹底して二進的要素で構成されている。
モノクロ、囲碁、エレクトロミュージック、コンピュータ、現実と虚構など。
終盤で求めていた数字が神、意識そのものを表すものだということがわかり、ソルの助けもあり、(その真実に辿り着いたためか)マックスは臨死的体験をすることになる。
その後、幻覚としての脳を破壊し、自らの脳を損傷させる描写によって、神の領域(つまり人間を超えた領域)に達するために理性から脱する決断をしたと解釈できる。
(余談だが、そうであるなら左脳側を損傷させてほしかった)
それは理性によるフィルターを介さず、ただこの世界をありのままに捉えることであり、それが最後のジェンナとの会話であまり喋らず、計算もせず(あるいはできず)、ただ木を眺める描写によって表現されているのではないか。
作中でソルやユダヤ教のコーエンも言っていた通り、そこに達すると死ぬと言われていたが、反対を押し切って探求した結果、マックスは死んでおらず、その意味は"今ある現実(理性中心の生き方)とさよならする"ことではないか。
周りの恐れとは裏腹にマックスは最後、心穏やかに笑みを浮かべている。
りーな

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