浪川リオン

半次郎の浪川リオンのレビュー・感想・評価

半次郎(2010年製作の映画)
1.8
勘違いされてる方が多いようなんですが、東郷重位が薩摩で広めた示現流はこの映画の主人公、中村半次郎の薬丸自顕流とは源流は同じであっても別のものです。
示現流は稽古で立木を木刀で打って太刀筋のスピード、パワーを養うらしいですが薬丸自顕流の稽古は映画にも出ている横木打ち。構えも歩く時の足の体重の乗せ方も違います。
(Twitterで昔「茶道における流儀の差異は何かというとどうでもいいとこばかり違うのです」という話を見たけど、興味無い人にはこの話もどうでもいいのだろうな)

昔から放屁、排泄物、身体から出る不衛生なものを笑いのネタにするのが滅茶苦茶苦手なのでこの映画も当然の如く生理的嫌悪感を覚えました。おならのネタがしつこい。"ぼっけもん"って下品な人間の事を言うのかと勘違いしてしまう。
(余談だけど『アナ雪』は「鼻くそとか食うかもよ」っていう短いセリフのせいで二度と見る気がしないし、名作の呼び声高い『青いパパイヤの香り』の小便小僧が汚らしすぎて僕は全く好きになれなかった)

お話はなんだかダラダラしていて退屈で、西郷隆盛に迫力や威厳を感じないので中村半次郎が何故この人にそこまでこだわるのかよく分からなかった。京都で香水の瓶をもらうとこだけなんか良かった。

主人公の中村半次郎を演じる役者さん、剣の達人を演じるわけなのだから撮影前からもっと身体を鍛えて役作りして欲しかった。切られた腹を縫うシーンで諸肌脱ぎになるけど普通のサラリーマンの体型だった。弱そう。
坂上忍さんは肥え過ぎてて役者としてその時点で失格だと思う。敗走中もずっとお前だけ良いメシたらふく食べてたって事か? 個人的に嫌いなので戦死するシーンは嬉しくなってしまい、撃たれるシーンを巻き戻して2度見ました。

とにかく期待はずれだったけど、その原因は何なのかと考えると、自分は京都市中で新選組と斬り合うような場面をもっと見たかったんだろうなと思う。その部分は短いダイジェスト映像のように軽く流されてしまい、あっという間になんかヒゲの偉い人になっててガッカリした。
『雨垂れが地に落ちるまでに3回抜刀、納刀できた』とかの逸話の映像化を見たかったなあ。

エンドロール後になんかえらそうな能書きが出てきますが、娯楽として大した物を完成させてないからこんな事言う資格無いんじゃないかなと思いますよ。

最後に、映画とは全く関係無いけどWikipediaに出てくる中村半次郎ご本人の写真、めちゃめちゃなかやまきんに君に似てるのできんに君好きな人は見てみて下さい。