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ゴーストワールドのhrmのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.2
ギャル服ブランドと男の子と浜崎あゆみの話しかせず、本を読んでいると小馬鹿にしてくる女の子たちに辟易して引きこもりになってた頃の私がリアルタイムで観たかった。
実際に初めて観たのは20代後半で、20歳前後のどうにもならなさからはとっくに卒業していた。
ある程度の期間引きこもってたいつかの自分に、どうにもならなくなくなってきた私が下した診断結果は「拗らせ過ぎた厨二病」。
今日、観客の半数だった20歳前後の子たちに「映画館で観る選択をしたあなたたち、最高!」と思う程度におとなになりました。

昨日もえさんが観に行ったとストーリーズに上げていたのもあり、ジェーン・スーさんにしか見えず、愛おしさもにやにやも増したイニード。
あの不安定さの原因は、ほんとうに主に「ホルモンのせい」だと思うよ。
だから自己否定しないで大丈夫。
自分がわからなくてお金もなくて、時間だけはたっぷりあって「なんかおもしろいことないかなー?」とばかり思っていたあの頃。
バイト先も、その後だらだらと友達と過ごす明け方まで開いてるファミレスも徒歩圏内だったあの頃。
網タイツ、穿いてたよねー。
網目が大きめだと足指の間に網目が食い込むよねー、あれ。

こんなに笑えたっけ?とか、こんなラストだったっけ?とか思いながら、観終わった私はものすごく元気になっていた。
その元気はふたりの女の子たちから分けてもらったのかも知れない。
ものを知らなくて想像力もたいしてなかった年齢に、その分あった怖いものなしの度胸ったら(今は今で、経験を重ねた分だけの度胸があるけどね)。
近しい他者と己とを比べてしまい、落ち込んだり振り回してしまったりしたりした頃の倍ほどの年齢を重ね、スクリーンで観てとても好きになった映画のうちの一本に「ゴーストワールド」が仲間入りした今日。
一度も来たことのなかった土地に足を踏み入れそのまま住んで今に至っている私は、ラストのイーニドに自分を重ね合わせずに居れません。
彼女の未来も明るいものだといい。

女の子ふたり(とあの頃の自分)にばかり言及しているようだけれど、スティーヴ・ブシェミも最高だった。
自分にも他者にも嘘を吐かずにおたくライフを過ごしているシーモア大好き(おたくは素晴らしいと常々思っている)。
元々、数少ない好きな男優ランキング上位に位置していた彼が、断突一位に躍り出た。

いつでも観られるようにしたいから、DVDかBlu-ray買お。

余談。
ノーランの「フォロウイング」と「ゴーストワールド」をはしごしたら、仲間が10人くらいいてとても嬉しかったです◎
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