このレビューはネタバレを含みます
言わずと知れた怪獣映画の金字塔。
当時が当時なだけにどうしても粗さが残る特撮技術、本作の見所であるオチ(美女が野獣を射止めた)のインパクトを裏付ける描写不足…といった惜しい、致し方ない点はありますが、思っていた以上にバイオレンス描写がしっかりとしているため、怪獣映画としての面白味は備わっていたと思います。
特に恐竜との対決で、執拗に恐竜の口を掴んで引き裂かんとするばかりのエネルギッシュな描写が何度も挟まれたのは好感触。
先程も述べたように、ラストシーンの「美女が野獣を射止めたんだ」というテーマ斉唱は好みなのですが、結局このメッセージを劇中通して上手く描けていない、そのメッセージを汲み取れないのは残念。
コングがヒロインを身を呈して守っている描写を徹底したり、ヒロインとコングが少しずつ打ち解けていくといった“美女と野獣”の味わいがそこまで付与されていなかったため、最終的にコングが死んでしまった描写を見てもただただコングが可哀想というか、結局ただのモンスターパニック映画でしかなかったと捉えられかねない。
即ち、ラストシーンの「美女が野獣を射止めた」という名台詞が大して意味を成さなくなってしまう。
そもそも劇中でのコング、まるで人形で遊ぶ女の子のように、ヒロインの服脱がしてたシーンぐらいしか印象に残る事してないので…。
怪獣映画としての描写は思っていた以上に心を掴まれましたが、クライマックスにかけての脚本はちゃんと練って欲しかったですね…。