スローモーション男

翔んだカップル オリジナル版のスローモーション男のレビュー・感想・評価

4.2
 アイドル映画の巨匠、相米慎二のデビュー作。

ひょんなことから同じ家に住むことになった高校生の男女。このまま恋愛関係に発展するかと思いきや、別の男女も入ってきて…。

はっきり言ってストーリーが所々、完全に破綻してます。初期の相米慎二特有の長回しごり押しパワーで面白くしちゃってるんです!

鶴見辰吾と薬師丸ひろ子の初々しい演技は面白く、そこに尾美としのりもいます。

性的なメタファー描写も多くあり、そこに薬師丸ひろ子を投入してアイドル映画にしているものの、なんか恐いのです…。まず色んな自然音が入ってくるのも恐いし、キャラクターの行動も恐い。
相米慎二の独特なシリアスさが発揮されてますね。ラブコメじゃないですw

それからお得意の長回し!薬師丸ひろ子が自転車で坂を下り、家に激突するとこを本当に撮っちゃってます!これは危険すぎますねw
あとローラースケートのシーンは楽しそうです☺️

前半は楽しい雰囲気なのに後半から怖い映画になっていきます…。

色んな人たちの嫉妬や憎悪が溜まっていきラストは驚くべき展開へ…。
あのもぐら叩きは胸が痛みます。自分達は本当はこうなるはずじゃなかったと…。

みんながみんな、哀しみをもっていることに気づいた瞬間です。
この後『セーラー服と機関銃』を撮るのですから、素晴らしいですね!