福福吉吉

ランド・オブ・ザ・デッドの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年製作の映画)
4.0
世界は死者が甦りゾンビとなって人を襲い、襲われた人がまたゾンビとなる地獄のような循環が続き、生き残った人類は一部の富裕層のみが安全な建物の中で生活し、その他は貧しい暮らしを強いられていた。そんな中、ライリー率いる部隊は生活物資を調達するため、ゾンビのいる危険な地域に足を踏み入れていた。

ゾンビの蔓延る世界で、一部の富裕層のみが優雅に生きるという現在と変わらない状況を皮肉的に描いており、ゾンビという脅威に晒されながらも、豊かな者が貧しい者を貶める人間の醜さを感じました。

富裕層の支配者であるカウフマン(デニス・ホッパー)は専用の高層ビルとゾンビから身を守るための柵や軍隊を作った人物であるが、特権意識が非常に強く、貧困層を一切配慮しない冷酷さが特徴的で、いかにも悪のボスといった感じで良かったと思います。

一方、本作の主人公であるライリー(サイモン・ベイカー)は生活物資を調達する部隊のリーダーであるが、善人面が妙に鼻につくキャラクターに感じました。彼の行動はとても理性的で人道的ですが、ゾンビ蔓延る狂った世界では清貧すぎる気がしました。
それとは対照的に、部隊のサブリーダーであるチョロ(ジョン・レグイザモ)は貪欲でカウフマンと取引して富裕層に成り上がろうとする姿を見せており、私にはチョロの方が感情移入しました。

ゾンビが人を襲うシーンはかなり残酷に描かれており、身体を引き裂いてゾンビが人を喰う姿は怖さがあって良かったと思います。

後半にはゾンビが学習して道具を使うシーンなど新鮮味のある展開がとても面白かったです。

とても面白い作品でした。

鑑賞日:2023年6月21日
鑑賞方法:U-NEXT
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