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劇場版ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET (ブループラネット)のtakのレビュー・感想・評価

3.5
惑星の環境を破壊して支配する邪悪な宇宙怪獣サンドロスと、その配下のスコービスによる地球侵略が、大きな意味での物語の中心。従来のウルトラマンシリーズならば勧善懲悪に徹して終わるところだが、ここに怪獣に故郷を滅ぼされた異星人とのコミュニケーションが加わり、物語をスリリングにする。

「コスモス」で貫かれている、怪獣退治よりも保護、敵と見なされる相手であろうともまずは共存をめざすという路線は、今回はその異星人に向けられている。この異星人たちが地球の海底に住んでいるという設定は、「ウルトラセブン」の名エピソード「ノンマルトの使者」を思い出させて、大人の心をくすぐる。異星人シャウを演じた斉藤麻衣ちゃんが存在感。将来活躍して欲しいとおじさんは思います。

かなりの部分を占める北九州ロケ場面は、よくやるなぁ、とやや気恥ずかしささえ感ずる。何せ日本列島を宇宙からの敵から守るバリヤー発生基地が北九州空港、スコービスが小倉の市街地を襲うシーンでは、小倉駅は壊され、メディアドームは踏みつぶされ、小倉城は砂になる。今はなきスペースワールドも登場する。北九州ロケ映画としては屈指の傑作。川沿いを逃げる人々をバックに少年が「ウルトラマン、きてくれるんやろう?」と九州弁丸出しなのが、なんかいいww

劇場公開直前に出演者に関する騒ぎがあって、完全な形での公開すら危ぶまれ、別バージョンまで用意された。テレビシリーズではムサシ不在の編集版が放送されたもんなぁ。それはともかく、思った以上に大人の鑑賞に堪える映画だった。それは怪獣とのファイトシーン以外のドラマの作りがきちんとしているからだ。
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