皿鉢小鉢てんりしんり

娘・妻・母の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

娘・妻・母(1960年製作の映画)
3.7
まあ、芸達者集めて成瀬で、って面白くて当然でしょう、そりゃ……
交通事故に取り憑かれた映画作家ということで、原節子の旦那が冒頭早速交通事故で退場。森雅之の不機嫌そうな「まあ、大丈夫でしょう」、からの高峰秀子が電話受け「死んじゃったんですって」というくだりの絶妙に近くも遠くもない人が死んだ感じがリアル。
成瀬にしてはだいぶ軽妙な感じで話が進んでいくが、森雅之が投資に失敗したのがバレてからの金の分配、親のなすりつけ合いで一気にやるせなき男の世界に引きずりこまれる。
議論している間に寝床から起きてきた子どもに三益愛子が言う「みんなね、またお母さんに何か良いものを買ってあげようと話し合いをしてるんだよ」というセリフが抜群の切れ味で素晴らしい。
あと当時の老人ホーム描写をカラーで、という貴重なものが見られるのもポイント。