ハレンチ学園在学生

娘・妻・母のハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

娘・妻・母(1960年製作の映画)
4.0
主役は原節子の長女とその母の三益愛子で、三益の長男森雅之の妻に当たる高峰秀子は後景に退く。最初のうちは三益の子どもたちの、それぞれの連れ合いや義母(次女の草笛光子の姑が杉村春子!)の話を通して家庭生活の困難さをのんびり描いているように見えてホームドラマと思ってみていたが、森雅之が投資先の加東大介が失踪して破綻したあたりで、財産分割はどうするのか、三益の面倒を誰が見るかという兄妹間の言い争いとなり、一気に寒々しい家族像が露わになって、まるで地獄絵図を見るようで凍りついた。成瀬巳喜男恐るべし。また、至って生真面目な好青年を演じる仲代達矢と心を通わす原節子の、決して成就しないだろう淡い恋が切ない。