彦次郎

白夫人の妖恋の彦次郎のレビュー・感想・評価

白夫人の妖恋(1956年製作の映画)
3.4
白蛇の化身白娘と貧しい青年許仙の恋路を描いた特撮伝奇ラブストーリー。”東宝初の総天然色(イーストマン・カラー)による特撮映画である。日本で最初にブルーバック撮影による合成を用いた作品”(wikipediaより引用)とのことで相当に力が入っていることが窺えます。
さてお話の方は、傘を美女に差し出したら結婚を申し込まれたうえに支度金まで用意してくれるという出会い系サイトでぼったくりバーにご案内されそうな都合のよさですが案の定金は盗品で許仙は鞭打ちのうえ流罪となります。ムシのいい話は登場人物にも許さない作者の強い意志を感じないでもありません。
恨みに思う許仙もなんだかんだで白娘と結婚というのも普通ならあり得ませんが白娘演じる山口淑子(当時36歳)の超絶美貌で納得させらえる不思議さです。民間伝承ならこれで終わりそうですが茅山道人(演じるのは後の初代水戸黄門東野英治郎)が「お前は妖怪の虜になっておる」と野暮な口出しし始めたのが悲劇の始まり。この先はご鑑賞していただくとして
、許仙を愛する情念で長江の水を操り大洪水が巻き起こる大スペクタクルは迫力満点でさすが円谷英二監督と言わざるを得ません。
なお元ネタは中国の伝承『白蛇伝』。本作がヒットした影響で日本最初のカラー長編漫画映画『白蛇伝』が誕生。大げさに言えば今日の日本アニメ誕生に功績のある作品といえましょう。
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