ぼのご

乳房よ永遠なれのぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

乳房よ永遠なれ(1955年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

序盤の家庭での男尊女卑加減や、離婚後の世間の腫れ物に触るような扱いが酷くて引いた。現代と多少は形が違うものの、常識に起因して息苦しさへと繋がるのはどの時代も変わらないんだなぁ。

ふみ子の旦那は最悪だったけど、親友夫婦や家族が優しかったのは救いだった。
親友夫婦、病室で一緒だった夫婦、弟夫婦と複数の夫婦が出てきて、結婚自体に批判的な訳ではなく、色んなパターンがあるという描き方をしているようで公正な感じ。でもまあ、この時代は本当、結婚するのが当たり前だったんだな。今もそういう部分はあるのかもしれないけど。

冒頭からずっと窮屈そうだったふみ子が、乳ガンになってからは寧ろ生き生きとしていたのが印象的。学生時代は明るかったと親友も言っていたし、自暴自棄になったというよりは、死を目前にして詩の才能も突然認められて、一気に本来の自分に戻れたみたい。その調子でずっと生きていてほしかったなぁ。親しい人たちや子どもたちとお別れをするラストが泣ける……。

それから辞世の句がまた凄まじい。
"遺産なき 母が唯一の ものとして
     遺しゆく死を 子らよ受け取れ"
命の重みを感じた。
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