horahuki

黄金の眼のhorahukiのレビュー・感想・評価

黄金の眼(1967年製作の映画)
4.2
あのエメラルドのネックレスが欲しい!

テレビに映った要人のネックレスを見てそんなことを言う彼女のために早速盗みにいく彼女思いなイケメン怪盗ダイアボリックさんとマフィア・警察連合軍とのコミカルな裏のかきあい。そして最終的にはなぜか金ピカに大変身するダイアボリックさんのイケメン具合も堪能できるルパン風怪盗コメディ。

バーヴァBOX届いた!!😊というわけでまたまたバーヴァ監督作を!本作はこの前のゴールドフットさんの後に作られたコメディ映画。提示された潤沢な資金を敢えて使わずにテクニックで魅せることを選んだバーヴァのカッコ良さが光るエピソードがほんと凄い!やっぱりバーヴァはサイコー!!

本作はとにかくプロローグがかっこいい!カットを割らずにキャラクターを数珠つなぎするカメラがコミカルと違和感を上乗せし、上から捉える車の交差から、視界を奪った後の外連味溢れるクローズアップと高笑いに至るまでのコンパクトに凝縮されたバーヴァな旨味。スリルに似た爆発点に向けた期待を盛り上がる要素を盛り込みつつも、茶化したような楽しげなモリコーネのスコアと前作で見せつけたバーヴァ流コメディ演出による空気感の調整。しかもタイトルコールが決まりまくってて、これぞバーヴァ!って感じでテンション爆上げ!本作が今回のBlu-rayから漏れたのは残念…😱

奥行きを意識した構図、うねるように躍動するカメラ、超大胆な省略での場面つなぎ、サイケデリックな空間と歪むレンズ。バーヴァ演出をたっぷり堪能できるし、原作が漫画というのもあって、リアリティからの漫画的逸脱を、前作で培ったのであろう空気感と徹底的に動的で楽しさ追求な作風でもって納得させてしまうあたりにバーヴァの非凡さが出てる。ほんと何やっても凄い!しかもアニメーションで人相書きをやっちゃうオシャレ感まで😂

冒頭に書いた通り、怪盗ダイアボリックさんは超彼女思いなヤツでして。権力に対してアナーキーな視点なり性質なりを強く持ってはいるものの、盗むものは基本的に彼女が欲しいもの。彼女のためにどんな困難な盗みも働く。しかもマスクの下はイケメン!ダイアボリックさん最強やん!

しかも彼女の方もデキル人!欲しいもんをねだるだけじゃなくて、ダイアボリックさんと一緒に協力してガッツリ危険な任務をこなす二人三脚怪盗。しかもめちゃエロくて美人!!彼女さんだけで画面が持ってしまう美貌は必見!巨大回転ベッドで金に塗れながらヤッてるとこをオーバーヘッドアングルで見せるシーンはマジで名シーン!

前作と同様で風刺的視点は本作にも忍ばせていてそれを2人の怪盗が体現するのだけど、そこにあるのは高尚な熱意などではなく純粋な欲望というのが面白い。自国の経済よりも自身の地位を重視する権威たちに若い世代が反抗する物語を「欲望」に落とし込むセンスよ!どっちにしても権威vs若者というのは、若い世代にシンパシーを感じていたバーヴァらしい構図。そして、物欲の象徴が上の世代に対しては死を招き、若い世代には愛情と結びつくというのもそういったバーヴァの考えに起因してるのでしょうね。

反対した人をぶっ殺して全会一致を作り出す多数決の極地、取材陣も政治家も大爆笑で幕を閉じる模範的記者会見等々。アホみたいな笑えるシーンもたくさんあって大満足でした👍
horahuki

horahuki