Jeffrey

歌う女・歌わない女のJeffreyのレビュー・感想・評価

歌う女・歌わない女(1977年製作の映画)
3.0
「歌う女・歌わない女」

冒頭、1962年のパリ。女の子の幸せを望んでいる共通点を持つ2人の女性、妊娠と中絶、社会的、宗教的偏見、激動の68年へと向かう時代、子供の世話に明け暮れる22歳と歌を歌う17歳。今、2人の時代が映される…本作は1977年にアニエス・ヴァルダが監督したフランス映画で、この度VHSにて初鑑賞したが普通。さて、物語は1962年パリ。ポンムは歌手に憧れて夢を追い始める17歳の歌う女。シュザンヌには夢追い人のカメラマンを愛し、貧しい中子供の世話に明け暮れる22歳の歌わない女である。対照的だが、女の子の幸せを望んでいる点は同じ2人。やがて激動の68年へと向かうパリ、この2人に女性だけが抱え込む苦しみ、痛み、絶望が襲いかかる。妊娠、中絶、社会的、宗教的偏見…と簡単に説明するとこんな感じで、これらのテーマを暗く扱わずに、夢を捨てずに這い上がってくるような感覚と美しい監督が作詞したと思われる歌で全編を彩り、優しさで包むような映画である。この作品はカトリックの国ではタブーとされている中絶問題を扱ったと言うことにより、批評家から徹底して黙殺され、1週間で上映打ち切りとなった呪われた映画とまで言われている映画だったので、前々から気になってはいたが今回見てなるほどなと思った。夢を踏みにじる残酷な現実をヴァルダは作りたかったのだろう。
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