似太郎

酔いどれ天使の似太郎のレビュー・感想・評価

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
4.3
【夢魔去りぬ🍂】

初期のクロサワの尖ったセンスが光る傑作。若き日の三船敏郎がクール&スタイリッシュ、且つ病的。(笑)

肺癌を患ったヤクザ、松永(三船)が夢を見る幻想的なシークエンスはマジで見ものだ。悪夢的というよりは、むしろシュールで滑稽でまるで漫画みたい。

黒澤明らしいヒューマンな味わいが捨てがたい、戦後の混乱期を描いた眞田医師(志村喬)と闇市のボスの患者(三船)による人間同士の軋轢が見ものの社会風刺ドラマ。

そのバタ臭い雰囲気はとても日本映画とは思えない洗練されたモダニズムをヒシヒシと感じる。エイゼンシュテイン、グリフィス、ジョン・フォード、伊丹万作、山中貞雄…。

黒澤明がリスペクトする近代の映画人の影響が随所に垣間見れる極めてスタイリッシュな邦画である。台詞がちょっと生真面目で説教臭いのが難点だけど、傑作です。😅
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