上海十月

ラブ・ストーリーを君にの上海十月のレビュー・感想・評価

ラブ・ストーリーを君に(1988年製作の映画)
3.3
丸山昇一のインタビューを見るまでは、この映画全く見る気はなかった。公開当時でもテレビでは国民的美少女と言うことで大河ドラマ、テレビドラマ、CMと引っ張りだこだった後藤久美子。そして「ビーバップハイスクール」でツッパリばっかりやっていた仲村トオルで、この難病物で美少女だというところで当時でさえも古さを感じてしまう。当時の日本映画は前売り券至上主義となり映画の興行収入はいっぱいあるけれども結果的に映画館はガラガラと言う鬼のような状態に陥っていた。その中でこういった古典的な映画を公開する東映と言うのは一体何考えてんだろうと当時思ったことをよく覚えている。丸山昇一のインタビューで試写会の時、最後のシーンで大泣きをしていたのが脚本家本人だったと言うところに惹かれて見てしまった。オープニングのシーンを見て後藤久美子の大根ぶりで、これは、なかなか辛いし柳沢慎吾はテレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」と変わらない演技で何だかなぁ。だんだん話が進むにつれ、これは少女の物語ではあるけれども今までの難病物と違って周りの人間の話になってるところが秀逸だった。そして、後藤久美子が死を自覚した時、そして死を覚悟した時から、この話は、見事な映画となったと考えます。ただ予定調和が多いので手放しで喜べる話作品ではないけれども、こういった映画がとられた事は当時の日本映画としては興行的に失敗したとしても良かったなぁと思いました。後藤久美子は、おそらく日本映画女優として人気女優になったかもしれないけれども、それに相応しい企画がなかったことが不幸だったんだろう。
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