荒野の狼

ドリームガールズの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ドリームガールズ(2006年製作の映画)
5.0
本作はダイアナ・ロスをその中核とする女性歌手3人組スプリームスがレコード会社モータウンからデビューして成功をおさめた実話をもとにした同名のミュージカルの映画化。ミュージカルが原作であるため歌が無理なく映画に挿入され、しかも詩の内容が演技以上に説得力があるものが多く、映画の前半では主な出演者全員が歌う「Family」は感動的。
本作で最も有名な「And I Am Telling You I'm Not Going」は前半のハイライト でジェニファー・ハドソンにより歌われて評価が高いが、じっくり聞かせようとするせいか、この曲のシーンは少し長すぎる印象で物語の流れが悪くなってしまっている。後半では映画のオリジナルでビヨンセ・ノウルズ作の“Listen”では個人の独立のメッセージがビヨンセによってパワフルに歌いあげられている。
同時期にモータウンに所属していたマイケルジャクソン(ジャクソン5のメンバーとして当時は少年)などが登場するため、当時の音楽シーンに興味が持てる内容になっているのも本作の魅力。ただ完全な実話ではないので注意が必要。たとえばジェイミー・フォックスが演じたカーティス・テイラー・ジュニアはモータウンの創設者、ベリー・ゴーディ・ジュニアを基としているが、本作との人間関係はフィクションが多くあまりに悪役であるため映画の製作者側は公式に本人に謝罪している。
ハドソンが演じたエフィのモデルはフローレンス・バラードだが、バラードは32歳で冠動脈塞栓による心停止で死亡しており本作のラストシーンのパフォーマンスはフィクション。ダイアナ・ロスも本作の内容は支持していないようではあるが、コンサートでは「Family」を歌っている。
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