松原慶太

きらきらひかるの松原慶太のレビュー・感想・評価

きらきらひかる(1992年製作の映画)
3.7
アル中気味の翻訳家(薬師丸ひろ子)とその夫の医師(豊川悦司)、そして同性愛者である夫の彼氏(筒井道隆)との、奇妙な三角関係の話。

前半は、三人のあいだの微妙な空気感をユーモラスに描き、なかなかいい。薬師丸と、夫の浮気相手である筒井道隆のあいだにうまれるシンパシーみたいなものもおもしろい。

これが、もし男と女、逆の立場だったらどうだろう、などと想像しながら見ていた。

一般に、異性愛者の場合でも、パートナーの浮気相手と、共犯意識にも似たシンパシーが生まれることはありうる。ここらへんをもうすこしじっくりと見たかった。

後半は、旦那が同性愛者であることが周囲にバレてしまうことで、微妙なバランスで成り立っていた三角関係が崩れていく。ここらへんの展開が、世間的にはそうなるんだろうな、という気もしつつ、ありきたりの気がした。

個人的には、同性愛者と異性愛者、そしてそれぞれの浮気相手、みたいな薄〜い関係性で成り立っている「家族(のようなもの)」が、そのまま10年も20年もつづいたらどうなるか、つまりは、ラストシーンのその先にある風景を見たかったようにも思う。
松原慶太

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