アキラナウェイ

ニューオーリンズ・トライアルのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.4
原作はジョン・グリシャムの「陪審評決」。

いや、待てよ。
ジョン・グリシャムの名前は、昔から何度も聞いたゾ。

「評決のとき」「法律事務所」(=「ザ・ファーム」)「ペリカン文書」「依頼人」「処刑室」(=「チェンバー/凍った絆」)。今まで観てきた映画、取り分け法廷劇の傑作は、その殆どがジョン・グリシャム原作じゃないか。

銃規制に関する裁判を軸に、陪審員となった男と、陪審コンサルタントとして名高い男との駆け引きを描く法廷サスペンス。

ニューオーリンズで銃乱射事件が起き、犯人は11人を殺害した後自殺する—— 。

犯行に使われた銃器の製造メーカーを相手取り、犠牲者の男の妻が雇ったベテラン弁護士ローア(ダスティン・ホフマン)と、被告側が雇った伝説の陪審コンサルタント、フィッチ(ジーン・ハックマン)。そして、巧みな演技で陪審員の中に紛れ込んだ男ニック(ジョン・キューザック)。

三つ巴となる法廷劇。

原告側、被告側、それぞれの陪審コンサルタント達、そして、陪審員に紛れ込んで彼らの票を操作する別の刺客…。

ニックと手を組む謎の女、マーリー(レイチェル・ワイズ)も加わって、裁判の裏で行われる駆け引き、脅迫、強奪の恐ろしさを見せつけられる。

そもそも陪審コンサルタントなんて職業も知らなかったし…。

ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンが対峙するシーンは、やっぱり迫力がある。

しかしながら、被告側の立場でジョン・キューザックとレイチェル・ワイズが演じるニックとマーリーが動き回る事で、ダスティン・ホフマンの存在感が霞んでしまったのは残念。

陪審員を選ぶ所から、人種、性別、職業の統計データから、自分達の陣営に有利か不利かを遠隔で判断するチームがあったり、水面下でこんなにも情報戦が繰り広げられている事に驚愕。

ニックとマーリーの真の目的とは——?

派手さはないけど、ラストにはどんでん返しが待っていて、きちんと面白く仕上がっているのは、ジョン・グリシャムの原作と脚本家達の功績か。

銃を持つべきか、持たざるべきか。
アメリカ社会の永遠のテーマだね。