レネリー

東京物語のレネリーのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
Blu-rayにて再鑑賞

こんなに幸福感溢れる映画はなかなか無い。
本作は尾道に住む老夫婦が子供や孫に会うために東京へ行くというシンプルなお話。
東京で暮らす子供たちは自分の生活や仕事で精一杯でほとんど相手にしてもらえず、一方で戦死した次男の妻が心温まる気遣いを彼らにする。
肉親だからこそ欠如する愛情の薄さと他人だからこそ大きくなる優しさを見事なまでに描かれた作品。
だからと言って、肉親に愛がないというわけではない。

人にはそれぞれの家庭があるので、自分と照らし合わせるとまた良いかも。
自分の場合は両親なんかいないし、祖父母と弟くらいしか肉親はいない。若くして自立してしまったので肉親と触れ合う機会は幼少時代からかなり薄くなった。家族同然の仲間もたくさんいるが、元は他人。夫婦だって元は他人。
でも、他人だからこそできる本当の優しさってあるんじゃないかなと思う。
僕が本当に人に優しくできる理由は他人だからなのかも。
それにしても、この映画に出てくる老夫婦はちょっと気の毒というか、可哀想まであるな。
でもこれは現代でも見受けられる家族の縮図であり、ある家庭にとっては必然。

この映画は色んな形の愛が描かれている。

兎にも角にも本当に素晴らしい映画で、音楽も映像も演技も構図も何もかもが完璧なのだ。

死ぬまでに観てほしい映画の一つ。
レネリー

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