ほーく

ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグのほーくのレビュー・感想・評価

3.3
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

お隣さんの尾道@広島でも展開中

【情報操作】

何も信じられない

  マスメディア利用による情報操作の罠を皮肉に描く。

<コメント>

 ダスティン・ホフマンとロバート・デ・ニーロの共演で、バリー・レビンソン監督。とまあ、豪華な顔ぶれなのだが、内容はマスメディア偏重の受け身情報の現実を皮肉った小品。

 名優二人の共演としてはさほど骨のある役柄ではなく、キャスティングに必然性が感じられないのだが、これだけ地味な作品ならばこれくらい箔をつけなければ客を呼べないということかもしれない。シニカルな笑いにはそれなりに著名な俳優が必要ということか。

 二人の演技は、それほど力が入ったようでもなく、好意的に見ればそれだけ個を消しているとも言える。演出は、全体的には控えめであり、毒を込めたシーンにはアクセントをつけている。

 いかにも陰謀史観な脚本なのだが、あながち笑えないのが恐ろしい現実である。特に、2001年9月のアメリカ同時多発テロ直後の、アメリカの報道姿勢や、それに対応した合衆国政府の動きなどを見ると、余計にそう思える。下手に過去、支持率が下がるごとに対外的に武力行使し、愛国心を高めていた実績があるだけに、一瞬今回も自作自演かとうがった想像までしてしまったのは、この作品があったからとも言える。

 集団というものは、情報量が多ければ、そのベクトルがほぼ一方向しか向いていなくてもそれに気づかない。これだけ情報が多様に自力で取捨選択できるようになっていても、その取捨選択する意思を妨げることができるほどまだまだその影響力は健在なのである。
ほーく

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