子持ちのカイロレン

ラスト・ボーイスカウトの子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

ラスト・ボーイスカウト(1991年製作の映画)
5.0
 公開以来ぶりに見直したらめちゃくちゃ面白くて心に沁みた。ブルース・ウィリスとデイモン・ウェイアンズの負け犬っぷりと、ボロボロになりながら巨悪に一撃喰らわす姿に思わず涙ぐんでしまった。こんな面白かったっけ?と思ったら自分もこの映画のブルース・ウィリスの歳をとっくに超えて、妻に浮気されて目の前で自動車が爆発する男の気持ちが分かるようになったのかもしれない。
 この映画を象徴してるのはうらぶれた路地裏でブルース・ウィリスが巨大な議員の看板を見上げて悪態をつき、グラスを投げつけるシーンだと思う。汚職にまみれた金持ちと私立探偵の構図は、往年のフィルムノワールそのまんま。悪の親玉が持ってるプール付きの部屋なんてまさに。そしてその世界観にぴったりはまるブルース・ウィリス。
 撮影現場は修羅場だったらしいけど、キャスト・スタッフのイライラが物語とリンクしてうまく作用したのかもしれない。ラジー賞候補が信じられない珠玉の90年代アクション映画。