菩薩

快楽の菩薩のレビュー・感想・評価

快楽(1952年製作の映画)
4.5
オフュルスの「流麗なカメラワーク」の頂点はこれでよろしいね?途中途中口あんぐりしながら観てしまい台詞すら追えなかったので何度も巻き戻してしまった。

冒頭から傑作として語られる事が約束されたかの様な導入だがそれはまだ小手調べに過ぎず、二部で観るものを映画的快楽の真っ只中へと引き摺り込み、三部で一気に地獄へと突き落とす…。三部のラストは面影ラッキーホールの「私が車椅子になっても」の元ネタですね?ごめんなさい嘘つきました、真逆でした。二部の娼館が閉まり性的欲求を満たせず短気になり喧嘩別れしていくおっさん共が愛おし過ぎるが、永田町界隈の人間はこれを観てセックスワーカーこそがこの世を根底から支える崇高な職業であると今一度再認識すべきだと思う。快楽と愛の対立、快楽と純血の出会い、快楽と死。オフュルスの精神性を最も継承しているのはフィリップ・ガレルの様な気がするのだが…とか言ったら「ちげーよ」とかめっちゃ言われそうだからやっぱなんでも無いです。

単品でDVD買うとなかなか値が張るがありがたい事にコスミック出版様の10枚組組み込まれている。この一枚の為に後の9枚フリスビーにしても十分価値のある傑作。
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