塔の上のカバンツェル

戦場のメリークリスマスの塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.1
茶化す意図はなく、純粋にこの映画はブロマンスを描いた作品であると思う。

あの紳士然としたボーイと坂本龍一が演じる2人は、ひょっとすると平時であれば、親交を深めててもおかしくない。
どこか似た者のような印象を受ける。

その対比として、粗暴な所長ハラと、優しき男であるローレンスの関係が一層、チグハグである。

英国人であり、優しく気丈なローレンスと、
日本人であり、尊大で荒っぽいハラの2人の関係は、
必ずしも平和な時にあっては成立せず、また出会うこともなかったはずである。
戦下の収容所という特殊な環境の中でこそ、育まれた友情であり、だからこそ最期の結末の哀しさがやるせなくなる。

今作は前面に反戦的信条を訴えるものではなく、
イデオロギー的な殲滅戦争にあって、
それでも人間は、人間性を完全に歴史上から捨て去ることはできないという希望を残していく映画なのだと思います


「メリークリスマス ミスターローレンス」

映画のテーマ曲というジャンルを超えて、この曲を聴くと無性に泣きたくなる