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ノッティングヒルの恋人のmihoのレビュー・感想・評価

ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)
4.0
バラード曲を聴いているような作品だった。90年代の映画はなぜこんなにも清らかでロマンチックなのだろうか。

街角のさえない書店の店主と大物女優が恋に落ちるなんて現実世界では到底有り得ないが、それを可能にしてしまうのがロマンス映画の世界。「映画みたいなシチュエーション」という慣用句はこのような映画からきているのだろう。

最近の作品は、フィクションにせよノンフィクションにせよ、なぜそうなるのか、理屈はどうなのかと、その背景にある細々した詳細な設定を追求しがちだ。SNSの普及により人々の興味は遠い憧れの人物から等身大の身近な人に移行していることがその理由の一つだろう。ありえないロマンスより、自分の身近に起こりうる小さな幸せの方が響きやすいのだ。加えてインターネットの普及により多少の情報はすぐに調べられるから、人々は作品にそれ以上を求めようとする。

そのため今の映画は凝っていて面白いのだが、本作のような設定の細部が詰められていない「余白」が多い映画だと、その分自分の想像力を働かせながら観ることができるので、自分好みに味付けしながら楽しむことができる。

今の映画が好きな人は、話が唐突すぎる印象を受けたり、あり得ない展開につまらなさを感じるかもしれないため4に留めたが、個人的には大好きな映画の一つとなった。

ロマンチックな物語を観たい方
90年代の映画が好きな方
イギリスが好きな方

おすすめです
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