しゅん

櫛の火のしゅんのレビュー・感想・評価

櫛の火(1975年製作の映画)
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古井由吉の言葉が強い(音への拘りと描写の過密さ)小説を映画にする時に変に生真面目になってたらどうしようかと心配してたので、冒頭のトラクターに追われる草刈正雄の馬鹿らしさに心底安心した。というか、追われるように(好んでというよりそれが宿命であるかのように)セックスを繰り返す神代辰巳の映画は、古井の受身の感覚とかなり相性が良いんだと思う。

雪の中の立ちションベン、赤い電話からの三輪車、エスカレーターで男二人が何故か密着している画など、必然のわからないシーンがことごとく気持ちよくてさわやかな気持ちにさせられる。話は男女たちの薄汚いタペストリーって感じなのにやたらとスカッとする。やっぱりオロナミンCの看板が無駄に映されるからかな。元気ハツラツ!

混乱した人が多いらしい時制の変化には何故か全く困らず、話の流れはむしろわかりやすいと感じてた。桃井かおりのハスキー声が全然変わってなくて、童顔に対する違和感がすごい。
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