シネフィル母ちゃん

陽のあたる場所からのシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

陽のあたる場所から(2003年製作の映画)
2.9
アイスランドが舞台の映画を観たくてレンタル。
あらすじを読み、精神科医が精神患者を救うホッコリとした心温まるストーリーかと思ったら全然違った。
暖かさに包み込まれるどころか完全に突き放されちゃったよ。
冬のアイスランドの厳しさと精神患者の心の難しさがすごくマッチしていて、「これが現実よね」と、妙に納得。



精神科の研修医として働くコーラ。
コーラは、自分の担当しているロアという患者がアイスランドに強制帰還されたことに納得出来ず、独りでアイスランドへ行きロアを助けようとする。
でも、コーラもロアに依存しているし、途中どっちが精神患者かわからない怖さもあった。
今まで島でロアの診察をしてた医者の気持ちも、コーラの気持ちもわかる。
二人の治療に関する意見は正反対だけど、どちらも彼女を治したい気持ちは同じ。
ただ、私は島の医者の意見に賛成だった。
治療する側がいくら熱意があっても、人の心はそう簡単に直せないし、医師が無力になる時もある。
それがすごくリアルで良かった。

暗い景色、厳しい寒さ、閉鎖的な島、あんなところにいたら私でも心が病んでしまうかも。

ハリウッドにありがちな王道ヒューマンドラマにならなかったこの作品、余韻に浸れてすごく良かった。
セリフはないけれど、2人が陽だまりでくつろぐシーンは忘れられない。
結局何も変わらなかったのかもしれないし、何か変わったかもしれない。
不思議なインパクトのある静かな作品だった。