くまちゃん

黒いジャガーのくまちゃんのレビュー・感想・評価

黒いジャガー(1971年製作の映画)
3.0
1800年代イギリスでは黒人を奴隷として売買していた。アメリカでは大量に買い入れ、農地開拓や働き手としてただの労働力と見なされ差別意識が強くなっていった。
200年も昔のことだが過去ではなく人種差別は今尚蔓延っている。
教育水準の低下が就職率の低下に繋がり、経済格差が広がる。結果貧困に陥り、福祉も頼れず生活苦から犯罪に手を染めてしまう。
人種差別は根深くハリウッドでも度々問題視されている。

そんな中、アフリカ系アメリカ人を客層に想定したブラックスプロイテーションの初期作品であり最重要とされる今作が誕生したのは必然と言えるだろう。

ストーリーラインはありがちなハードボイルドアクション。ただキャストを含むスタッフの多くが黒人で構成されていることに意義がある。

現代でもスタッフの多くを女性にすることで思いがけない傑作が生まれたりするものだ。

黒人が辿ってきた過酷な歴史を一挙に背負い、抑圧され続けた反骨精神と、物怖じしない態度、人種を問わずにモテるクールガイ。洒落っ気と殺伐さが撹拌され混沌とした70年代ニューヨークの体現者。

モデルと舞台を経て、これがスクリーンデビューとは思えぬリチャード・ラウンドトゥリーの堂々たるアプローチ。
ヒーローとは多かれ少なかれ世相や社会問題を内包している。ジョン・シャフトは社会が生んだ怒りそのものであり未来への警鐘でもあるのだ。
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