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麦秋のlordanthonyのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.2
今の年齢になって観るとまた違った味わいがあると感じた。小津作品は、観ていてなぜか気持ちが落ちつく。外で紀子の両親が並んで座って話すシーンがとても良かった。娘の人生の大事な時期を案じて話すのだけど、彼らにとっても大きいことで、空を見て気持ちを落ち着けながら話しているに見えた。

作品で描かれている既婚vs未婚みたいな構図は、現代ではあからさまには無さそうな気はするが、少しはあるのかなとも思う。こどもの有無にもよると思うが、既婚女性と未婚女性はわりと疎遠になる印象。どこかの家に嫁ぐというのは、両親とは違った形で接することになるわけで、寂しさと嬉しさが入り交じっていて、その様がリアルに描かれていると思う。恋愛要素よりは、家族の話に重点がおかれている。紀子の決断は清々しさを感じた。

小津作品といえば、原節子や笠智衆なのだけど、自分としては三宅邦子のたたずまいが結構好きで観いってしまう。
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