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アンラッキー・モンキーのRiNのレビュー・感想・評価

アンラッキー・モンキー(1997年製作の映画)
3.7
凄い、コテコテ凝り凝りのハイセンスなアンラッキー不条理フィルムノワールやんけ、と思ってふんふんルンルンしながら観ていたら90分からの展開なんだそれ!!ってなって、困惑がものすごかったです。だけど、ラストシーンがもう、ムッチャクチャかっこいい。ズルい。
嘘みたいにクール。SABUさんスゴい。

冒頭、うんちくばっかり垂れる頭でっかち野郎が、大した覚悟もなく銀行強盗に向かうところから映画が始まるのですが、その後、もろもろの不運に見舞われて、そりゃもう最悪な偶然の連続で、一気に犯罪山盛りのどん底に叩き落とされます。その不運の連鎖もユーモラスでかつ世情を反映してて面白いんだけど、その罪の意識からどんどん意識混濁していく描写がスゴく良いんです。地下道で浮浪者とすれ違うシーンとか、雨の中の黒塗りの車とか、いちいち頭の隅っこに爪痕を残すようなシーン、言うなればキラーシーンばかりで構成されているのに、抜くとこ抜くからクドくなってない。
そんでもってあのラストシーン。一瞬の困惑は、ここに至るまでのスパイスかしら。

「人を殺すと、見かけは同じだけど、全く別の世界に入ることになるんだってよ」
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