映画の味方あっつマン

國民の創生の映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

國民の創生(1915年製作の映画)
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アメリカ南北戦争から、その後の時代を背景に、南部と北部の2つの家の人々がそれまで親しくしていたにもかかわらず敵対して争い、やがて戦後の混乱から起こる人種闘争は、両家の男女の恋をも引き裂いてゆく——。



本作の監督、デヴィッド・W・グリフィスは、映画史を創った監督として、リュミエール、メリエス、ラング、ポーター、エイゼンシュテインなどと共に、名前が上がることが多い人物だ。特に、グリフィス監督は映画表現の基礎を形づくった「映画の父」と呼ばれる(※のちに、その基礎をゴダールが破壊したとのこと)。

例えるなら、日本漫画界における手塚治虫の世界映画界版。今ある映画表現はグリフィス監督が発明したと言っても過言ではないと言われている。

特に本作「國民の創生」は、グリフィス監督の代表作として名高い。いわば、歴史的価値が非常に高い世界映画遺産である。極端なクローズアップ、フラッシュバック、ロングショット等々、この作品で生み出された表現をあげだしたら切りがない。

また、逆に、本作は映画史に残るの汚点とも言われている。この映画の黒人差別表現の影響で、一旦途絶えていたはずのKKKを復活させてしまったんだから。。。(※作中で、覆面のKKKが、まるで世をしのぶヒーローのように描かれている)

ここまでが本作を語る上で、外すことができないウンチクだ。この作品の評価が、この歴史的価値への評価であれば★★★★★以外にはありえない。しかし、何と言っても100年前の映画なので、少なくとも白黒の無声映画に慣れてないと非常に見辛いと思うし、黒人差別をナチュラルに肯定しているので、思想的にも受け付けないだろう。

ロングショットなどは、現在の映画を観ていれば、当たり前にある表現として何度も目にしているはずだが、それでも、本作の「新しい表現を生み出そうとしている【熱】」は、観て感じ取ることができるはずだ。その【熱】こそが、本作だけが持つ唯一無二の感動であると思う。

映画ファンにとっての教養のような作品なので、興味のある人は、是非。

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グリフィスを「映画の父」と呼ぶことが多いが、だったらエドウィン・S・ポーターも「映画の父」なのでは? と思ったりもする。。クロスカットなどで映画に「編集」を取り入れたのは、彼の方が早かったし、そもそもグリフィスを映画業界に引き入れたのも彼だし(※飼い殺し状態だったけど)。。。

まあ、人気はグリフィスの方があったし、ポーターは早々に引退したし、長編映画ならグリフィスがアメリカ初だし、確かに、後世への影響はグリフィスの方があったのかもしれない。。。

映画にストーリーやシーンを付けたメリエスも入れて考え出すと「映画の父」論争はさらにややこしい(※てか、もはやメリエスで良いよね)。

突き詰めていくと、映写機的な物を発明したリュミエールやエジソン、馬の高速連続写真を撮影したマイブリッジにだってさかのぼれる。。ここまでくると、ぶっちゃけ、よく分からない。