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あねといもうとのmingoのレビュー・感想・評価

あねといもうと(1965年製作の映画)
4.1
先日観た小林正樹の大傑作「この広い空のどこかに」の台詞回ししかり本作でも同様に些細な台詞がやけに引っかかる、おそらく木下恵介作品の功労者脚本家楠田芳子によるところが大きいのだろう。木下作品はそこまで好きではないが前述の作品同様に川頭タッグの本作もまた味わい深く、派手さは無いがテンポも良く刺さってしまった…楠田作品今後絶対追いたい…タイトルバックは書家「町春草」による仕事でシンプルな線が映画の導入を優しく誘う。
長女岩下志麻、次女倍賞千恵子、三女中村晃子、大黒柱山村聰の父子家庭に亡き長男の嫁久我美子が加わって姉妹の新たな出発が描かれる。久我美子の着物姿が美しく最初は挫けかけていたが亡き夫に顔向けできるように姉妹を支える姿がグッとくる。物語の影の立役者である。
また長女岩下志麻の結婚話がメインなだけあって特筆すべき美しさを画面中に充満させている。その相手がデンジャラスのっちにくりそつな大辻司郎だから山村が心配するのも分かるが「人柄」を見る岩下がただただ素晴らしい。
そして脇を固める叔母役の轟夕起子が溌剌としてて気持ちが良いし、倍賞の恋人早川保の母役北林谷栄が本作でも嫌な役回りだが一度みたら忘れない強烈な嫌みババア役を買って出る。男優陣が圧倒的に弱いが物語できちんと補完できている。しかし男優が佐田啓二や二枚目だったら佳作どころかちゃんとした傑作になっていただろう…
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