めしいらず

赤ひげのめしいらずのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
4.0
あまりにもど直球な人間讃歌に少しばかり尻こそばゆい感じもなくはないけれど、それでもその揺るぎないヒューマニズムに圧倒されてしまう。いくつかのコメディ的な場面場面や、清廉潔白とはいかない側面も描くことで人間的な奥行きがちゃんとあって、薄ペラなお涙頂戴ものとは雲泥の差がある、生きること死ぬことにまつわる人間存在の荘厳さを目の当たりにするような様々な患者たちとの触れ合いを経、厳しくも優しい先達に導かれ、未熟だった若者が医者としての本分にやがて目覚め人として深まっていくまで。なんと言っても三船のこれまでのイメージを裏切るような穏やかで人間味溢れる赤ひげ像が素晴らしいにも程がある。これが黒澤と三船のタッグの最終作となったのが惜しまれる。三時間を超す長尺が全く気にならない面白さで、さすがは黒澤の代表作だわいと思わされること必至。これぞまさに名作。
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