こぅ

クリスマスの休暇のこぅのレビュー・感想・評価

クリスマスの休暇(1944年製作の映画)
3.8
230/'20

クリスマスムード皆無のロバート・シオドマク監督による、
【ラブ・サスペンス】。

脚本は、今話題の【市民ケーン】のハーマン・J・マンキ
ウィッツ(通称マンク)。
意外に【安易な予想】が外れる展開で、個性的と言えば、
個性的脚本。

冒頭からの15分間で判断する限り、ジャンル不透明、主役
が不明(結果論として)。

チャールズ少尉(ディーン・ハレンズ)は、クリスマス休暇中
に電報である事を知り、サンフランシスコに向かう。飛行機が
立ち往生中に記者でバーの宣伝係サイモン(リチャード・
ウォーフ)と知り合う。その導きでバー、ラフィットに行き、
歌手のジャッキー(ディアナ・ダービン)と出会う…。

2人で行った大聖堂の深夜ミサでジャッキーは意味深な号泣。

訳ありの身の上話を語り(回想)始める、、。

冒頭ではハッキリしなかったジャンルも一気にサスペンス
方向へと向かう。
夫、ロバート(ジーン・ケリー)のズボンに付いた血は⁉︎
あの大◯は⁉︎
とは言え、本作の【着地点】が全く見えてこない。
回想は【時間軸】を変えている。
なれ初め〜結婚の回想が あと というのは珍しいが、その
意図は⁉︎本作の貫くテーマに関係している。

そこからもう一つ描かれた(学んだ)のは、チャールズ少尉の
【愛に対する成長】で、「人にはそれぞれの生き方がある」
「大事なのは自分の気持ちに正直に生きる事」

公判にサスペンス(重き)は持ってこない脚本。

終盤はテーマに向けて少々強引な展開に、、

ジャッキーの夫へ貫いた愛は、素晴らし(出来)過ぎる。

アングルや陰影や計算されたカメラ(クレーンも有り)が
秀逸。カット割は極力抑えて長回しで見せるのも
特徴。
兎に角、撮影に関しては、流石【らせん階段】の前年って
思わせた。


ラストの引いていく雲の星空とジャッキーの涙のラストカット
が切なくも美しい。


*絶世の美女とは違う、少しぽっちゃり頬のディアナ・
ダービン嬢(23)が魅力的。
劇中3回聴ける彼女の【歌唱】も素晴らしい!
こぅ

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