ヘソの曲り角

2046のヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

2046(2004年製作の映画)
2.8
えー、まず申し上げたいのはこの作品が『花様年華』の続編だということ。がっつり続編だった。なんなら『欲望の翼』からも設定拝借していてウォン・カーウァイユニバース展開されてんじゃねーかと歓喜しちゃったのだがそれも冒頭の小ネタでしかなく、ファンでもない自分が釣られてしまって悲しくなった。

さらに本作撮影監督がクリストファー・ドイルのほかに二人参加していて、過去作とは明らかに画の良さが失われていて残念だった。

本作では作家役のトニー・レオンが自分の身の周りの人をSF小説『2046』に出すという展開によって、現実と作中作の二層構造になっている。その肝心の作中作描写なんだが、チープすぎる衣装、現実の位相とほぼ変わらない言動によって意味がほとんど見い出せなかった。作中作の映像描写が全くなくても小説をモノローグなり台詞なりで説明してしまえば十分成立してしまう致命的な問題があると思う。

木村拓哉の使い方もなんだかよく分からない。どうせモノローグ主体なんだから台詞読むのうまい別のキャスティングした方が良かったのでは。冒頭にあるキムタクがフェイ・ウォンの道案内何度も聞き直すシーンみたいなフランクな演出の方が彼に合ってると思うのだが。クソ真面目にかっこいいのやるのはなんか違う…。(とはいえキムタクの演技ちゃんと見たのこれが初めて)

肝心の物語自体も「これにどう興味を持てと…?」という感じ。トリュフォーお得意のダメ男一代記を湿度200%増かつ1/8倍速で見せられてるような感じで超しんどかった。

発想自体はかなり面白いから原案ウォン・カーウァイで別の方にやってもらったら良かったのになぁと思う。岩井俊二とかどうかなぁ、違うかなぁ。

フェイ・ウォンだけやたら良かった気がする。



ウォン・カーウァイ8本見て今更我慢できないのもあれなんだが「男の美学」みたいなんマヂでムリ。勘違いしてるかもしれんけど…。どれくらい自覚的かも分からないカッコつけにもなってないカッコつけを「かわいいねぇ」と愛でれる人は楽しめると思うけど私はキツいっす…。