チッコーネ

僕と未来とブエノスアイレスのチッコーネのレビュー・感想・評価

2.0
ポーランド系ユダヤ人が主人公。
さらに中野ブロードウェイのようなテナントビル内部が主な舞台なので、アルゼンチンぽさは皆無。
セット撮影はなく、手持ちカメラの躍動感あふれる画面(というか、グラグラ)が続く。

リアリティは確かにあるけれど、特に面白いエピソードが現れるでもない前半は、かなり退屈…、登場人物たちがお世辞にも美しいと言えないのも、つらい。
これならドキュメンタリーを撮った方が、よっぽど面白かったと思う。
またアジア人や同じ南米出身のペルー人たちに対する表現は、かなりグレー。
ここ数年で同様の表現を用いたら、総好かんを食うだろう。
そこら辺に、白人の無意識的な傲慢さが現れているのが不味い。

主人公の背景はそのまま監督の背景のようなので、自叙伝的な作品なのかもしれない。
南米からの作品として世に出るにあたり、アイデンティティが複雑なのは大きなハンデだが、かと言ってカテゴライズを超越するほどの魅力も見い出せなかった(おばあちゃんの歌唱は素晴らしい)。
ベルリンで賞を獲った作品のようだが、以降の監督の活躍が尻すぼみなのも、何となく納得。