Sari

地獄の謝肉祭のSariのレビュー・感想・評価

地獄の謝肉祭(1980年製作の映画)
3.5
カリフォルニアを舞台に、ベトナム帰りのゾンビ兵が巻き起こす恐怖を残虐描写満載で描いたイタリア製スプラッター・ホラー。
ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」から“人喰い”の要素だけを取り出して作られたB級ホラーである。

ゾンビを生きた人間に置き換えたものであり、食人嗜好の人間に噛まれた者は皆、食人嗜好になってしまう荒唐無稽な物語。

ベトナム帰還兵のノーマン(ジョン・サクソン)は、戦場で部下だったチャーリーとトミーが飢えをしのぐため人肉を貪り食った異様な光景を忘れられずにいた。ある日、戦争後遺症で入院中のチャーリーが外出を許可されるが、映画館でカップルに襲いかかり、街を逃亡しながら惨劇を引き起こしていく。チャーリーは再び病院へ送られるが、今度はトミーが暴れ出して看護師に噛みついてしまう。かつて噛まれたノーマンもその看護師もチャーリーたちに連帯感を抱くようになり、彼らと結託して死闘を繰り広げる...。

さすがにイタリア映画なので、低予算の割には印象に残るグロいシーンが多い。
舌を噛みちぎり、死体を電動ノコギリで切り刻んだり、この時人肉を切り刻む時の人喰い共の恍惚の表情が何とも不気味。中でも逃走中のチャーリーが死を迎える映画の伝説の名場面、腹を散弾銃ブチ抜かれ大穴が開くシーン。(ポスターにも使われている。)時代を感じさせる出来だが、インパクトは絶大である。

戦争の忌まわしい記憶がカニバリズムとして未だに人を苦しめ続けている残酷さと、緩いテンポで哀愁漂うドラマに仕立てあげている。
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