自転車の使い方がとても好き
2人の空気感がすごく伝わってきて、1人欠けてしまった空間や時間の寂しさを感じたし、そのあと実際喫茶店でシンジがマーちゃんの姿を見つけたシーンは涙が出た。
結局道は分かたれた2人だったけど、どこに行っても社会の構造は変わらなくて。あの学校で言われたことや同じような扱いしか受けない。
それを突きつけられたとき、シンジもマーちゃんも挫折の道へ逃げ込んでしまう。
同時に描かれていく他の子達の未来も明るくない。ということを、タクシーの中で揺れる人形や喫茶店にずっと置いてある人形、買いに行かされるタバコなどで表現してしまうのが凄いなと思う。
寺島進の中間管理職ぶりも面白い。
その目の前で重役たちが「今度ゴルフ行こっか〜」とか言ってるのも良い。ヤクザの世界も結局同じ。
その中でも、他人に認められなくても漫才の道を突き進んだ人たちだけがラストは満員のお客の中でキラキラと輝いている。
そしてそれを嬉しそうに舞台の袖から観ている人がいる。
誰に何を言われようと、これをやるというのをやり続けた人だけが報われる。
決して結果だけが大事なんじゃない、そこに向かおうとする意志が大事なんだろう。
ラストの2人の笑顔。
諦念も持ちつつも意地で生きるしかないというものなのか、本当にこれからの希望を持った心からの言葉だったのかは分からないけど。
そんなに夢とか希望とか言ってたら簡単に死んじゃうよと言われてるような気もした。
生きていくには、まず世界が自分に優しくないことを知らないと。そして自分にもそうであるのと同じように、他人にもそうであるということを映画自体が語っている感じがした。
そこでどう頑張るかはそいつ次第。
やべきょうすけは、挫折せずにいられるかな?
女連れこんでる時点でイーグルと同じ道を辿りそうなもんだけども…
あと、これはWikipedia情報なんだけど「女で挫折するのはみんなやってるから」ってのでハヤシみたいな人物を出してくるあたりがさすがだな〜と思った。絶妙に日常にいそうな先輩。
それと安藤政信のボクシングシーンはすごく良かった。ほぼステップだけで相手をコーナーに追い詰めるってのちゃんとやってるしとにかくカウンターとリバーブローの美しさ。
撮り方とか音がいいのかな?ミットの音が気持ちよかった。
【追記】
2回目みた
なんにも持ってない人間が何者かになろうとして失敗する話だと思った
マーちゃんとシンジ、お互いに何者でもないただの友達としてなら笑い合えるっていうラストがなんというか、クるものがあった。
結局、自分は自分でしかない
何者でもなくても、ほんとはただマーちゃんと笑ってたかっただけだったのかなと思ってしまった