いい映画だ。
一歩踏み外せば転げ落ちていくような、危ない橋を渡るしかない人生。
どんなことをやってみても上手くいかず、ある分野では人生が軌道に乗ったかもと淡く期待を抱いたりするが、そこでも失敗する。自分独りの力では立脚することはできず、最後に自転車を2人乗りしているシーンが本当に美しい。孤独でさえなければ、またやり直してみてもいいかなという心が湧いてくる。素晴らしい映画だ。
北野武映画は、人の苦しみを描くときに内側の声ではなく、人の姿や佇まいから微かに漏れ出てくる哀しみとともに感じとられるから、静かでこちらの心に堆積するような重さがある。それに寄り添う久石譲の音楽も素晴らしい。
傑作です。
