SatoEmiko

この自由な世界でのSatoEmikoのレビュー・感想・評価

この自由な世界で(2007年製作の映画)
4.0
ただ自分の息子を"幸せ"にしたかっただけのはずなのに。"幸せ"を追い求めれば求める程、足元に積もって行く"犠牲者"の山。その山を踏みしめて、越えてはいけないラインを越えていく主人公。

ある意味聖者のつもりで生きていても、知らずのうちに他人を踏み台にしてしか生き残れない、「この自由な世界」。
主人公自身が、社会的には「弱者」の立場でありながら、さらに自分より弱い者を食い物にする姿。この世界で延々と渦巻く支配と搾取の連鎖にクラクラする。
幸せってもっときっとシンプルなことのはずなのに、そんなことすら歪めてしまう、傲慢な「自由な世界」の仕組みと、その片棒を担ぐ一部としての自分に後ろ指を刺されているような気持ち。
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