ブタブタ

ブラックホールのブタブタのレビュー・感想・評価

ブラックホール(1979年製作の映画)
4.0
ポール・アンダーソン監督の底抜けボンクラ大傑作SF映画『イベント・ホライゾン』は様々なホラー、SF映画のパッチワークみたいな作品だけど特にストーリーに関してはこの『ブラックホール』そのまんまである。

「西暦2130年。宇宙探査船パロミノ号のクルーは、史上最大級のブラックホールの間近に漂う巨大宇宙船・U.S.S.シグナス号を発見した。地球への帰還命令を無視して20年前に消息を断っていたその船は、ブラックホールの強大な重力に引き込まれることもなく、平然と航行を続けていた。(あらすじより)」

ブラックホールが擬似か本物かくらいで話しは全く同じ(笑)
宇宙を漂う謎の巨大宇宙船、そして宇宙の真実やら神の世界やらに取り憑かれた狂科学者の組み合わせ。
スターウォーズが世界を席巻する、そのSF映画大ブームの最中本国アメリカしかもディズニー制作の底抜けSF超大作。
ディズニーはこの『ブラックホール』のち『ジョン・カーター』など底抜けSF映画を度々作る。
そして遂に本丸であるスターウォーズをも手中に納めるがドラマ(当たり外れが大きい)は兎も角メインの映画は大失敗となる。
スターウォーズなんかよりもディズニーのSF映画はこういう(『ブラックホール』)5.60年代B級SF映画の系譜作品をもっと作って欲しい。

そういえばブラックホールには小型のロボコンみたいなフワフワと反重力システム?で動くロボット《ヴィンセント》及びそのポンコツ型《ボブ》が登場するけどこのデザインが明らかにSW失敗新三部作のBB8にそっくりで元ネタと思われる。
『ゴールデン洋画劇場』でTV放送された時、このボブの吹き替えが竹中直人氏で「そ、そうでゴザイマショ」とか変な口調で喋ったり、戦闘シーンになると当時の氏のネタであるブルース・リーのモノマネ「アチョー!ほあら〜!」になったり滅茶苦茶だった(記憶違いかも知れない)

ディズニーは今年(2023)のほぼ全ての映画が大コケと言う未曾有の大惨事なれど70年代もポンコツ映画だらけのかなりヤヴャイ時代だったとの事。

なんと言ってもU.S.S.シグナス号のデザインが素晴らしい。
真っ黒な骨組みのゴシック建築みたいな意匠で内部のオレンジ色の灯りがまるで内蔵か何かの様に淡い光を放つ。
そこに君臨するキチガイ博士ラインハートはアンドロイド達を従えまるで王国の魔王の如き。
この辺『地獄の黙示録』にも話しは似てる。
ダンテの『神曲』が根底のテーマにあるのが解る(台詞にもブラックホールを見たクルー(アンソニー・パーキンス!)が「まるでダンテの神曲だ」とか言ってる😇)
ブラックホール=あの世であり、クライマックスはブラックホールへと落ちていくシグナス号、正にダンテの神曲より地獄編のSF版といった様相。
ラインハート博士の分身でもある高度なAIロボット《マクシミリアン》がお約束通り暴走の挙句ラインハート博士と一体化しブラックホールの中の《地獄》の山頂に立ちファウストよろしく世界を見下ろす場面は完璧に決まってて、この映画自体、ウィリアム・ブレイクが描いた『神曲』の挿絵に匹敵する『神曲』のSF映画版と言ったら言い過ぎか?

あと何故か本作には日本版イメージ主題歌なる曲があってそれが須藤薫『ブラックホール』
♬ただ~独り~ブラックホールへ、振り向かず落ちていく~♪♪とTVCMで流れてた記憶が。
映画の内容及び雰囲気とは全く関係ない曲なれどyoutubeで改めて聞きましたが名曲です。
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