がちゃん

新宿アウトロー ぶっ飛ばせのがちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
藤田敏八監督作品をレビュー。
1970年制作の本作は、
藤田監督がまだ文学的な作品を撮る前で、
デビューから得意としていたアクションものです。

刑務所から出所してきた西神勇次(通称シニガミ)を、
直という青年が出迎える。

直は、マリファナの取引に失敗して時価三千万円のマリファナと相棒の修平を取り戻してほしいと、シニガミに依頼する。

調査していくと、どうやら黒幕にヤクザ組織友愛互助会と殺し屋サソリが関係しているようなことがわかってくる。

連れ去られた修平は、かつてのシニガミの彼女だった笑子の弟だった。
そして、笑子の店に血にまみれた修平の服を着たマネキン人形が届けられる・・・

物語はここから復讐劇となります。
主人公シニガミに、渡哲也。
相棒の直に原田芳雄。
シニガミの昔の女笑子に梶芽衣子。
殺し屋のサソリに成田三樹夫とキャストがたまらなく豪華です。

プログラムピクチャーながらも、随所に敏八節は観ることができ、例えばオープニングのスキャットから雰囲気出してます。

シニガミと笑子の関係に直の三角関係をにおわせるところなど、『冒険者たち』(1967)や『明日に向かって撃て』(1969)などの影響を受けているように思えます。

襲撃の手段が火炎瓶だったりするのが、いかにも時代を感じますね。

唐突に女性のお尻がアップになるサービスショットなんかがあったりするのも笑える。

無敵のヒーローシニガミの渡哲也はカッコいいんだが、相棒の直を演じる原田芳雄にちょっと食われちゃったかも。
笑子に思いを寄せていながら自身がインポテンツだというコンプレックスがある難しい設定がハマった。

殺し屋サソリを演じる成田三樹夫の爬虫類感もいいですね。
『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)でウィレム・デフォー演じた悪役レイブンは、きっとこの作品を観たに違いない(笑)。

梶芽衣子も綺麗ですね。
劇中、敵の組織に殺されてしまうのですが、
その時に施される死化粧が本当に美しいんです。
口に含んだウィスキーで死に水を吹きかけるシーンなど、
敏八節全開です。

そんなに予算もなかっただろうと思われるのだが、
クライマックスのヘリコプターのシーンは頑張ってますよ。
団地が立ち並ぶ住宅街を低空飛行して迫力満点です。

暴走族のリーダー役の沖雅也も若々しい。
本当に美形。

撮影当時の横浜の港や、
新宿の街並みなど、
風俗的な興味も盛り上がります。

黒幕のラスボスの存在感が薄いので、
ドラマ的に盛り上がりが弱くなってしまった感がありますが、
この敏八作品も嫌いじゃないです。

プログラムピクチャーだと侮ることなかれ、
敏八監督流石です!







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