スギノイチ

博奕打ち いのち札のスギノイチのレビュー・感想・評価

博奕打ち いのち札(1971年製作の映画)
4.3
安田道代の境遇はそのまま『緋牡丹博徒』とか『極道の妻たち』に転用できそうなぐらいに自立した設定だが、あくまで主役は鶴田浩二だ。
全編にアンチ任侠のテーゼが貫かれ、鶴田浩二達は魑魅魍魎のヤクザ達に振り回され、犠牲になっていく。
まさしく、『総長賭博』をより悲劇的、観念的に煮詰めた様な内容だ。

鏡や徳利等、神具を想わせるアイテムを破壊し流血のイメージと結びつける発想からして、「美学のやくざ」を描き続けた山下耕作の中にも、やっぱり鶴田浩二の仁侠を呪縛的なもの(脱出するべきもの)として捉えていた節が少なからずあったんじゃないかなあ。
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