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エトワールのoqmrのレビュー・感想・評価

エトワール(2000年製作の映画)
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クラシック音楽など、カタチが残らない芸術を表現して観客を異次元の感覚世界にブッ飛ばしてしまう芸術家たちは一体どんなひとたちなのだろうと昔はよく思いを馳せた。この映画はその問いに関するヒントになる可能性を大いに秘めている。
あるエトワール曰く「昔は修道女になりたかった。信仰心のためではなく、浮世を捨て、一つの感性を極めたかった」。昔の僕はすべての芸術家はこういう人種だと信じていた。一日中芸術のことを考え、練習する。普通の人から見たら変態のようなひとたち。そのような人たちが舞台にたって表現するものの、すべてのミスは取り返しがつかないという不安定さと、感じ取ることができる熱量や迫力やなにか漠然とした「崇高さ」が、結局は複製可能なフィルムやデータでしかない映画の芸術的価値が若干ぶらつかせる。そんな芸術を扱った「映画」でした。

本作は全くこんな主題は扱うつもりはなかっただろうけどどうしても考えてしまう。
まぁそんな(僕のなかで)価値ぶらぶらな芸術さんを今日も見ますけどね。
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