荒野の狼

ハイキック・ガール!の荒野の狼のレビュー・感想・評価

ハイキック・ガール!(2009年製作の映画)
4.0
女空手家が主人公のアクション映画といえば、志穂美悦子主演の女必殺拳シリーズが日本では元祖と言えますが、敵の格闘集団の殺し屋にニックネームがついていたりと、志穂美作品との類似性が見られる作品です。作品全体が暗いところまで似ていますが、高校生の武田梨奈をせっかく主役としているので明るい作品にしてもよかったと思われます(武田の笑顔が見られるのはラストのほんの数秒)。
この作品ならではの名シーンは武田と空手界のアイドル小林由佳との女子高校生同士の蹴り合いで、相手のミドルキックをあえて身体で何発も受け合うシーンは受けた相手の身体の振動が伝わるほどの迫力です(このシーンはプロレスのキックやチョップ合戦を見ているようなお互いの意地の張り合いのようなものが感じられる点も必見です)。
武田の師範役の中達也はアクションシーンは見事ですが、それ以上にすばらしいのは空手の型の披露で、アクションファンとしては中達也の空手の型だけでも一見の価値ありです。
技が早すぎるのでスローモーションで見せてくれるのはアクションの詳細を知りたいファンには有難いのですが、キーになるシーンにとどめたほうが映画としてはスピード感がでたと思われます。他の難点としては、武田が全編を通してセーラー服と空手着しか着ておらず髪型も変えないところで、せっかくヒロインものにしているのですから女優の魅力を引き出すスタイリストが必要です。
完璧な映画ではありませんが、映画の宣伝にも使われている神社の境内で大男をハイキック一撃で倒すシーン、小林との決闘、中達也の型とアクション映画史に残したいカットが含まれる81分はアクションファンにとっては見ておきたい映画です。
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