MikiMickle

美しき冒険旅行のMikiMickleのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
4.0
オープニング、なにやら不安げな音楽とともに様々なオーストラリアの日常生活や荒れた大地が写しだされる。

イギリス人の14歳の姉と6歳の弟は、父に連れられ車でピクニックに出るが、父は突然二人に銃を向ける。一家心中だった。父は車を燃やして自 殺。何とか逃げた二人だったが、オーストラリアの砂漠で放浪(walkabout)することとなってしまう……
水も食べ物も尽きた時、walkabout(アボリジニの習慣で、一人で旅をする通過儀礼)をしている少年と出会い、旅を共にすることに……

全編とおして、とにかく自然。その美しさと厳しさ。その映像が本当に美しく、圧倒的‼ 一方で、旅の過酷さが伝わってくる。
動物たちもたくさん出て来て、それも素晴らしく生き生きと描かれている。ヘビ、トカゲ、ウォンバット、らくだなど。またはその干からびた死骸……

そして性のめざめ……淡い恋心……
少女の足と二股に別れた白い木が交互にでるシーンや、少女の目線などを使って、その性的なことをあらわしたり。

ジャケ写真にもなっている、少女がなにもまとわぬ姿で泳ぐシーンは、渇きの日々からの逸脱とともに、生きるという喜びまでもが表されているように思える。

また、文明と自然の対比がいたるところでうまく使われてるの。例えば、
焼けるうさぎと、焼ける父の車。
カンガルーをさばく少年と、都会での肉屋。

後半、空き家を見つけてからの展開がすごい。
文明に喜ぶ彼女と、それを見る彼の悲しげな眼差し。
獲物と一対一の対峙をする彼と、銃で無差別に狩りをする白人。
彼女に求婚の踊りを一晩中する彼と、気味悪がる彼女。

自然と文明との対比は、つまりは少年と少女の対比なのです。
心に突き刺さるものがあります。
人の人生の道の選び方についても考えてしまう…

ラストの3人が川で戯れるカットはどんな意味があるのか、是非とも観て考えて欲しい。


あと監督は足フェチw
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