がちゃん

影なき声のがちゃんのレビュー・感想・評価

影なき声(1958年製作の映画)
3.2
原作松本清張の謎解きサスペンス物で、
監督が鈴木清純。

電話の交換手をやっていたヒロイン南田洋子が、
電話で殺人現場での犯人の声を聞いてしまう。

彼女は300人もの人間の声を聞き分けることができるという特技の持ち主で、事件解決の重要な証拠になりうると考えた警察は、彼女の耳を頼りに捜査を進めたが、捜査は進展せず迷宮入りとなる。

3年後、
結婚して小さな借家に住んでいた南田。
夜な夜な夫が3人の男を家に呼び込んできては夜なべで麻雀をするのに閉口していた。

その中の一人の声が、あの殺人現場の電話口から聞こえてきた声の男(宍戸錠)だったので、彼女は恐怖におののく。

警察に相談するも相手にしてもらえず、
怯えた日々を過ごす南田だったが、
なんと宍戸錠は殺されてしまった。

そして重要参考人として警察に捕まったのは、
自分の夫だったのである。

果たして・・・

と、ストーリーを追うのはここまでにしておきましょうか。
謎解きサスペンスですもんね。

鈴木清純監督は、オーソドックスに物語を進めつつも、建物の外からカメラがパンしながら複数の住人の行動をとらえたり
点灯するネオンで登場人物の不安な気持ちを表したり、割れた鏡に映る表情で狂気を表したりして、らしさはところどころ感じることができる。

ただ、
謎解きがうまくないなあ。

松本清張の推理小説は、トリックが一つのポイントになっていると思うんだけど、そのトリックの見破り方が自然じゃない。

極端な言い方をするとこの作品、
最初の10分とラストの5分を見れば十分なような気がする。
とてもワクワクするオープニングだったんだけどなあ・・・

怪しい人間が次々と現れるんだけれども、
それぞれの人物にもっと関係性を持たせてほしかった。

クライマックスにちょっとしたショック場面があるんだけど、
これもルール違反かなあ。

謎解きはセリフじゃなくて、
映像で見せてほしい。

着想や展開はとてもいいだけに、
ちょっと残念な作品でした。

東映ヤクザ映画でクセのあるあの役者さんが、
ビックリするくらい違う雰囲気で出ていました。

朝の場面でニワトリが鳴いていたんですけど、
最近、朝のニワトリの声聞きません・・・
がちゃん

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