みむさん

10億分の1の男のみむさんのレビュー・感想・評価

10億分の1の男(2001年製作の映画)
3.3
とても回りくどい復讐劇。粗いしモヤっとするが思ったより面白い。
強運の持ち主に救われた男が運を吸いとられ、新たな別の強運の持ち主と組んで復讐するという話。

後に「28週後」を撮るファン・カルロス・フレスナディージョ監督、レオナルド・スバラーリャ、マックス・フォン・シドー共演のドラマ。

ナチスの強制収容所を生き抜いた老人は他人の運を吸い取る力があるらしい。カジノを経営しその力を弟子に与え客から金まきあげてるんだな。
(設定が似た映画「The Cooler」というのがあったが、あちらは悪運の持ち主がカジノの客に悪運を吹き込み金を巻き上げていた)

そんなふたりが訳あって仲違い、弟子は親分より強運の持ち主を探して復讐しようと奔走する。

ここに出てくる強運の持ち主がほんとに九死に一生を得たような強者ばかりなんで、一体どんな話になるんだ?と期待してしまうが、思いの外トリッキーなことは起こらない。
運を吸い取る能力もそんなに駆使されず、運試しは昔ながらのアナログ的方法、いい大人がムチャするなーと半ば呆れながらも、主人公が強盗で逃走途中だったりもして刑事と犯人の捕物劇も混ざってくる。

刑事までもが強運の持ち主だったらもう少し違う結末になりそうな予感もしたが。

終わりかたがまたモヤモヤしたまま。あれをどう捉えるか、解釈はいくらでもありそう。
わたしはあの終わりかたは悲しいというか虚しさだけが残ったように見えたなぁ。
生きている(生き残った)ことは果して本当に運がいいと言えるのか。生かされているということもある。

レオナルド・スバラーリャが「迷走のレクイエム」に続きめちゃくちゃ美しいので眼福。